
住宅ローンはいくら借りられる?年収の何倍が目安かを解説
住宅ローンの借入可能額は、年収に返済負担率を掛けて出した年間返済額から逆算します。「年収の何倍」という言い方はこの逆算の結果を割り算し直したもので、独立した基準ではありません。だから同じ年収でも、金利と返済期間が変われば倍率そのものが動きます。この記事では年収 300 万〜1,000 万円の借入可能額を返済負担率 2 段で計算し、金利と期間で倍率がどこまで開くか、そして「借りられる額」と「無理なく返せる額」がどれだけ違うかを金額で示します。
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記載の計算結果は一般的な条件による概算です。個別の条件で金額は変わるため、手続きに直結する場面では公的機関の資料を確認してください。 (免責事項)
住宅ローンは年収の何倍まで借りられる?
上限は年収の倍率ではなく返済負担率で決まります。金利年 1.5%・35 年で逆算すると、返済負担率 25% で年収の 6.80 倍、35% で 9.52 倍です。よく言われる「年収の 5〜7 倍」は、契約金利より高い金利で審査した場合の水準に近い数字です。金利 3.0%・35 年で計算し直すと、返済負担率 25% で 5.41 倍、35% で 7.58 倍になります。
返済負担率は、年収に占める年間返済額の割合です。借入可能額はここから 2 段階で求めます。
- 毎月返済できる額 =(年収 × 返済負担率 − 他の借入の年間返済額)÷ 12
- 借入可能額 = 毎月返済できる額 ×{(1 + 月利)返済回数 − 1} ÷ {月利 × (1 + 月利)返済回数}
年収 500 万円・返済負担率 25%・他の借入なしなら、毎月返済できる額は 500 万円 × 0.25 ÷ 12 = 104,167 円です。これを金利年 1.5%(月利 0.00125)・35 年(420 回)で借入額に直すと 3,402 万円になります。年収で割れば 6.80 倍です。倍率は計算の結果として最後に出てきます。出発点ではありません。
返済負担率の上限は金融機関ごとに違います。公表されている基準の一つが【フラット35】で、年収 400 万円未満は 30%以下、400 万円以上は 35%以下と定めています(【フラット35】ご利用条件)。ここでいう年間合計返済額は住宅ローンだけではありません。自動車ローンや教育ローンなど、他の借入の年間返済額も合算した数字です。民間の金融機関はこの基準を公表していない場合が多く、返済負担率の上限も、審査に使う金利も、商品ごとに決まります。この記事の計算は目安であって、融資される金額を示すものではありません。
年収別の借入可能額の目安は?
金利年 1.5%・35 年・元利均等返済・他の借入なしで、返済負担率 25% と【フラット35】の基準上限の 2 段で計算したものが次の表です。基準上限は年収 400 万円を境に 30% と 35% に分かれます。
| 年収(額面) | 毎月返済できる額(25%) | 借入可能額(25%) | 年収倍率 | 基準上限 | 借入可能額(上限) | 年収倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 300 万円 | 62,500 円 | 2,041 万円 | 6.80 倍 | 30% | 2,449 万円 | 8.16 倍 |
| 400 万円 | 83,333 円 | 2,721 万円 | 6.80 倍 | 35% | 3,810 万円 | 9.53 倍 |
| 500 万円 | 104,167 円 | 3,402 万円 | 6.80 倍 | 35% | 4,762 万円 | 9.52 倍 |
| 700 万円 | 145,833 円 | 4,762 万円 | 6.80 倍 | 35% | 6,668 万円 | 9.53 倍 |
| 1,000 万円 | 208,333 円 | 6,804 万円 | 6.80 倍 | 35% | 9,525 万円 | 9.53 倍 |
下のグラフは同じ表を棒に直したものです。濃い段が返済負担率 25%の借入可能額、薄い段が基準上限まで引き上げたときの上乗せ分です。
年収倍率の列は、どの年収でも同じ数字が並びます。他の借入がなければ借入可能額は年収に比例するためです。倍率が年収帯ごとに変わるという性質のものではありません。変わるのは返済負担率・金利・返済期間のほうです。年収 500 万円の行で見れば、返済負担率を 25% から 35% に上げるだけで借入可能額は 3,402 万円から 4,762 万円へ、1,360 万円増えます。
この上乗せ分は、返せる金額が増えたから出てきたものではありません。毎月の返済に回す金額を 104,167 円から 145,833 円へ、41,666 円増やした結果です。自分の年収・金利・期間での金額は住宅ローン返済シミュレーターの「借入可能額を調べる」モードで計算できます。入力した年収はブラウザ内だけで処理され、外部に送信されません。
「年収の何倍」だけで判断すると危ないのはなぜ?
同じ年収・同じ返済負担率でも、金利と返済期間で借入可能額が 2 倍近く動くためです。年収 500 万円・返済負担率 25%を固定して、金利と期間だけを振ったものが次の表です。毎月返済できる額はどのマス目でも 104,167 円で同じです。
| 金利(年率) | 25 年で返す | 30 年で返す | 35 年で返す |
|---|---|---|---|
| 0.5% | 2,937 万円(5.87 倍) | 3,481 万円(6.96 倍) | 4,012 万円(8.02 倍) |
| 1.0% | 2,763 万円(5.53 倍) | 3,238 万円(6.48 倍) | 3,690 万円(7.38 倍) |
| 1.5% | 2,604 万円(5.21 倍) | 3,018 万円(6.04 倍) | 3,402 万円(6.80 倍) |
| 2.0% | 2,457 万円(4.91 倍) | 2,818 万円(5.64 倍) | 3,144 万円(6.29 倍) |
| 3.0% | 2,196 万円(4.39 倍) | 2,470 万円(4.94 倍) | 2,706 万円(5.41 倍) |
いちばん大きいマス目は金利 0.5%・35 年の 4,012 万円(8.02 倍)、いちばん小さいマス目は金利 3.0%・25 年の 2,196 万円(4.39 倍)です。差は 1,816 万円あります。年収も返済負担率も同じで、この開きです。「年収の何倍」という言い方は、金利と期間を隠したまま結果だけを持ち出す言い方になっています。
審査で使う金利にも注意が必要です。契約する金利より高い金利を当てて返済負担率を見る扱いがあります。上の表で言えば、審査に使う金利が高いほど下の行に移り、同じ年収でも枠は小さくなります。審査金利の水準も、そもそも適用するかどうかも金融機関ごとに決まります。変動金利で借りるつもりでも、当初の低い金利で計算した借入可能額をそのまま予算にしないでください。金利タイプごとの返済額の動き方は住宅ローンは固定金利と変動金利どっちがいい?にまとめてあります。
他の借入も枠を先に食います。年収 500 万円・返済負担率 25%・金利年 1.5%・35 年で、月 25,000 円 の自動車ローンがあると借入可能額は 3,402 万円から 2,585 万円に下がります。減る額は 817 万円です。月 50,000 円 なら 1,769 万円です。カードローン、奨学金、分割払いの残債も同じように合算されます。
借りられる額と無理なく返せる額はどう違う?
借りられる額は額面年収で決まり、返せる額は手取りから決まります。返済負担率の審査は税金と社会保険料を引く前の年収に対して行われます。実際に返済に使えるのは、それらを引いたあとの手取りです。年収 500 万円の手取りを概算すると 3,932,400 円で、額面の 25% にあたる年 1,250,000 円は手取りの 31.8% にあたります。
| 年収(額面) | 手取り(概算) | 手取り率 | 額面の 25%(年間返済額) | 手取りに対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 300 万円 | 2,414,400 円 | 80.5% | 750,000 円 | 31.1% |
| 400 万円 | 3,178,000 円 | 79.5% | 1,000,000 円 | 31.5% |
| 500 万円 | 3,932,400 円 | 78.6% | 1,250,000 円 | 31.8% |
| 700 万円 | 5,316,700 円 | 76.0% | 1,750,000 円 | 32.9% |
| 1,000 万円 | 7,272,800 円 | 72.7% | 2,500,000 円 | 34.4% |
手取りは 2026 年(令和 8 年)分の制度で、協会けんぽ(東京都)加入・40 歳未満・扶養なし・基礎控除以外の所得控除なしとして概算した金額です。扶養家族や生命保険料控除がある場合は手取りが増えます。内訳は手取り計算(年収から手取り額)で確認できます。
年収が高いほど手取り率は下がるため、同じ額面の返済負担率でも手取りベースの重さは変わります。年収 300 万円の手取り率は 80.5%、年収 1,000 万円では 72.7% です。額面 25%の返済は、手取りに直すと前者で 31.1%、後者で 34.4% になります。額面の倍率が同じでも、家計に残る余裕は同じではありません。
返済額の外側にも住宅の費用があります。固定資産税、火災保険料、修繕費、マンションなら管理費と修繕積立金です。賃貸と違って自分で持つ費用で、返済負担率の計算には入りません。借入可能額の上限で組むと、この分と教育費・車の買い替えを入れる余地がなくなります。実際の利用者がどのあたりで組んでいるかは、住宅金融支援機構の「2025年度フラット35利用者調査」で確認できます。2025 年度の平均総返済負担率は 22.8% です。基準上限の 35% とは開きがあります。融資区分別に見ると、最も高い土地付注文住宅で 26.4%、最も低い中古マンションで 19.7% です。
同じ調査の年収倍率も見ておく価値があります。土地付注文住宅が 7.8 倍、マンションが 7.5 倍、中古戸建が 5.3倍です。ただしこの年収倍率は「所要資金 ÷ 世帯年収」で、借入額の倍率ではありません。分子は物件の取得に要した資金全体で頭金を含み、分母は本人と収入合算者を合わせた世帯年収です。この記事の表にある「借入可能額 ÷ 本人の額面年収」とは定義が違うため、そのまま並べて比べられません。
| 融資区分 | 年収倍率(所要資金 ÷ 世帯年収) | 総返済負担率 |
|---|---|---|
| 土地付注文住宅 | 7.8 倍 | 26.4% |
| マンション | 7.5 倍 | 21.5% |
| 注文住宅 | 6.9 倍 | 23% |
| 建売住宅 | 6.9 倍 | 23.9% |
| 中古マンション | 5.6 倍 | 19.7% |
| 中古戸建 | 5.3 倍 | 20.5% |
住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」(2026 年 7 月 24 日公表)より。集計対象は 2025 年度の買取承認案件および付保承認案件で、借換えを除く 35,553 件。平均世帯年収は 716 万円、全体の平均総返済負担率は 22.8% です。
毎月いくらまで返済に回せるかは、手取りから生活費を引いて決めます。費目別の割合の考え方は家計の黄金比とは?、実際の配分は家計収支シミュレーターで試せます。
実際の借入可能額はどう計算する?
自分の年収での金額は住宅ローン返済シミュレーターの「借入可能額を調べる」モードで出せます。手順は 3 回計算することです。
- 返済負担率 25% で 1 回目: 年収・金利・返済期間を入れ、他の借入があれば年間返済額も入れます。ここで出る額が、家計に無理をさせにくい水準の目安です
- 基準上限で 2 回目: 返済負担率を 35%に上げて、上限がどこにあるかを見ます。1 回目との差が、借りようと思えば借りられる幅です
- 金利を上げて 3 回目: 検討している金利より 1〜2 ポイント高い金利で計算します。変動金利で借りる場合の上振れと、審査金利が高く置かれる場合の両方を、この 1 回で見られます
3 つの金額が出たら、いちばん小さい金額を予算の出発点にしてください。借入可能額を出したあとは、逆向きの計算もしておきます。毎月返せる金額を先に決めて、それが借入額でいくらになるかを見る計算です。同じツールの「返済額を計算」モードで借入額を変えながら、毎月返済額が決めた金額に収まるところを探します。手取りから決めた返済額のほうが、年収から逆算した上限より現実に近い数字になります。
借入後の見通しまで含めて考えるなら、繰り上げ返済はどっちが得?で繰り上げ返済の効き方を、資産形成シミュレーションは何から始める?で手取りから積立・ローンまでの計算の順番を確認できます。
まとめ
順番は 3 つです。返済負担率から逆算する。金利と期間で振ってみる。手取りで確かめる。
- 倍率は結果: 借入可能額は「年収 × 返済負担率」から逆算します。金利年 1.5%・35 年なら返済負担率 25% で年収の 6.80 倍、35% で 9.52 倍です。よく言われる「5〜7 倍」は金利 3.0% 前後で計算した水準に近い数字です
- 金利と期間で 2 倍近く動く: 年収 500 万円・返済負担率 25% を固定しても、金利 0.5%・35 年の 4,012 万円から、金利 3.0%・25 年の 2,196 万円まで開きます
- 審査は額面、返済は手取り: 額面の 25%は、年収 500 万円の手取りに直すと 31.8% です。年収が高いほど手取り率は下がり、この差は開きます
- 上限は金融機関ごとに違う: 【フラット35】は年収 400 万円未満で 30%以下、400 万円以上で 35%以下と定めています。民間の金融機関の基準と審査金利は商品ごとに決まります
この記事の金利は計算のための仮定で、実勢の水準ではありません。返済負担率 25% も余裕を見た目安として置いた値です。法令で決まった数字ではありません。借りられる額から予算を決めず、返せる額から借入額を決めてください。自分の年収・金利・期間での金額は住宅ローン返済シミュレーターで計算できます。
よくある質問
- 住宅ローンの借入可能額は額面年収と手取りのどちらで計算しますか?
- 金融機関が返済負担率を見るのは額面年収です。フラット35 も「年収に占める年間合計返済額の割合」と書いており、税金と社会保険料を引く前の金額を指します。ただし実際に返済に使えるのは手取りです。年収 500 万円(協会けんぽ東京・40歳未満・扶養なしの概算で手取り 3,932,400 円)なら、額面の 25% にあたる年 1,250,000 円 は手取りの 31.8% です。年収が高いほど手取り率が下がるため、この差は開きます。年収 1,000 万円 では額面 25% が手取りの 34.4% になります。審査は額面で通っても、家計の判断は手取りで行ってください。
- 頭金を入れると借入可能額は増えますか?
- 増えません。借入可能額は年収と返済負担率から決まるため、手元資金の額では動きません。頭金が変えるのは買える物件の価格です。借入可能額 3,402 万円 に頭金 500 万円を足せば、購入に充てられる資金は 3,902 万円 になります。頭金の割合(融資率)で適用金利が変わる商品もあり、その場合は金利が下がることで借入可能額が増えることはあります。なお頭金を入れるときは、事務手数料・保証料・登記費用・火災保険料などの諸費用と生活防衛資金を手元に残した額で考えてください。
- 住宅ローンの年収倍率の平均はどれくらいですか?
- 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」(2026年7月24日公表)では、平均の年収倍率は土地付注文住宅が 7.8 倍で最も高く、中古戸建が 5.3 倍で最も低くなっています。マンション 7.5 倍、注文住宅と建売住宅がいずれも 6.9 倍です。この調査の年収倍率は「所要資金 ÷ 世帯年収」です。分子は物件の取得に要した資金全体で、借入額ではありません。分母は本人と収入合算者を合わせた世帯年収です。頭金を多く入れた人も分子には所要資金が入るため、借入額の倍率としてそのまま読めません。同じ調査の平均世帯年収は 716 万円、平均総返済負担率は 22.8% です。
- 車のローンがあると住宅ローンの借入可能額はどれだけ減りますか?
- 返済負担率の枠を他の借入が先に使うため、その分だけ減ります。年収 500 万円・返済負担率 25%・金利年 1.5%・35 年で計算すると、他の借入がなければ 3,402 万円 ですが、月 25,000 円 の車のローンがあると 2,585 万円 まで下がります。差は 817 万円 です。月 50,000 円 なら 1,769 万円 です。返済負担率の計算に含まれるのは住宅ローンだけではありません。自動車ローン、カードローン、奨学金、分割払いの残債なども年間返済額に合算されます。
根拠にした資料
この記事の返済負担率の基準・年収倍率・総返済負担率・平均世帯年収は次の資料に基づいています(リンクの到達確認は 2026 年 8 月時点)。
- 【フラット35】ご利用条件 — 独立行政法人 住宅金融支援機構【フラット35】
- フラット35利用者調査(2025年度、2026年7月24日公表) — 独立行政法人 住宅金融支援機構
- 住宅ローン利用者の実態調査 — 独立行政法人 住宅金融支援機構
数値の性格: 本文の金利 1.5% と 3.0%は計算のために置いた仮定で、実勢の金利水準でも審査金利の基準でもありません。借入可能額は元利均等返済・ボーナス返済なし・返済期間 35 年(感度表では 25〜35 年)で計算した目安で、1 万円未満を切り捨てています。手取りは 2026 年(令和 8 年)分の制度による概算です。実際の融資額は金融機関の審査で決まり、返済負担率の上限・審査に使う金利・勤続年数や雇用形態の扱い・団体信用生命保険の加入可否はいずれも金融機関と商品によって異なります。事務手数料・保証料・団体信用生命保険料・火災保険料・登記費用・住宅ローン控除は計算に含みません。