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繰り上げ返済はどっちが得?期間短縮型と返済額軽減型の違い

繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の 2 つがあります。同じ金額を繰り上げても、選んだ側で結果が変わります。減る利息が大きいのは期間短縮型、毎月の家計が軽くなるのは返済額軽減型です。この記事では同じ条件で両方を計算し、どちらを選ぶかの判断材料を金額で示します。

公開: / 制作・運営: ハコツールズ運営者

記載の計算結果は一般的な条件による概算です。個別の条件で金額は変わるため、手続きに直結する場面では公的機関の資料を確認してください。 (免責事項)

ユイ
同じ 100 万円を繰り上げるなら、期間短縮型でも返済額軽減型でも減る利息は同じですよね。
ハコ
同じではありません。残高 3,000 万円・金利年 1.5%・残り 35 年なら、期間短縮型は 671,801 円、返済額軽減型は 285,975 円です。
ユイ
倍以上ちがうんですね。だったら期間短縮型でいいのかな。
ハコ
利息だけを見ればそうなります。ただし期間短縮型は毎月の返済額が 1 円も下がりません。毎月のやりくりが苦しいなら、その差 385,826 円で月 3,062 円のゆとりを買う判断もあります。

繰り上げ返済はどっちが得?(期間短縮型と返済額軽減型の違い)

利息の軽減額を比べると、同じ金額を繰り上げるなら期間短縮型のほうが大きくなります。毎月の家計を軽くしたいなら返済額軽減型です。どちらが得かは、総額で払う利息を優先するか、毎月使える現金を優先するかで変わります。

違いは、繰り上げで空いた分をどこに振り向けるかです。期間短縮型は毎月の返済額を据え置いて完済を早めます。もう一方は完済時期を据え置いて毎月の返済額を下げます。元本が減れば利息が減る仕組みは同じです。違うのは、減った元本にかかっていた利息が消える期間の長さだけです。

比べる項目期間短縮型返済額軽減型
毎月の返済額変わらない下がる
完済の時期早まる変わらない
利息の軽減額大きい小さい
向いている状況毎月の返済に余裕があり、定年前に完済したい教育費が重い、収入が変わりそう

期間短縮型と返済額軽減型で利息はいくら変わる?

借入 3,000 万円・金利年 1.5%・35 年(420 回)のローンを借りた直後に 100 万円を繰り上げた場合、軽減される利息は期間短縮型が 671,801 円、返済額軽減型が 285,975 円です。差は 385,826 円あります。

繰り上げをしない場合の毎月返済額は 91,855 円、完済までに払う利息は 8,579,239 円です(元利均等返済・ボーナス返済なし)。この状態から 100 万円を繰り上げると、それぞれ次のように変わります。

項目繰り上げなし期間短縮型返済額軽減型
毎月返済額91,855 円91,855 円88,793 円
毎月の変化±0 円−3,062 円
完済までの回数420 回402 回(1 年 6 ヶ月短縮)420 回(変わらず)
払う利息8,579,239 円7,907,438 円8,293,265 円
軽減される利息671,801 円285,975 円

この表は、利息の 385,826 円と毎月の 3,062 円を交換した記録として読めます。返済額軽減型を選ぶと、期間短縮型より利息を 385,826 円多く払います。その代わり毎月 3,062 円が手元に残り、残り 420 回で累計 1,286,040 円になります。期間短縮型は逆です。毎月の現金は増えないまま、最後の 1 年 6 ヶ月(毎月 91,855 円)が丸ごと消えます。

繰り上げをしない場合の毎月返済額や償還表は住宅ローン返済シミュレーターで確認できます。自分の残高・金利・残り期間での 2 方式の比較はローン繰上返済シミュレータにそのまま入力してください。

繰り上げ額を増やすと差はどう広がる?

同じ条件で繰り上げ額を 50 万円・100 万円・300 万円に変えると、軽減利息と毎月返済額の変化は次のようになります。金額を 6 倍にすると軽減利息もおおむね 6 倍に近づき、2 方式の差も同じ比率で開きます。

繰り上げ額期間短縮型:軽減利息期間短縮型:短縮期間返済額軽減型:軽減利息返済額軽減型:毎月返済額
50 万円340,649 円9 ヶ月142,987 円90,324 円(−1,531 円)
100 万円671,801 円1 年 6 ヶ月285,975 円88,793 円(−3,062 円)
300 万円1,905,532 円4 年 5 ヶ月857,924 円82,670 円(−9,185 円)

下のグラフは同じ数字を 2 段に分けたものです。下の段は返済額軽減型でも減る分、上の段は期間短縮型を選ぶとさらに減る分です。棒全体の高さが期間短縮型の軽減利息になります。

0円50万円100万円150万円200万円50万円: 返済額軽減型でも減る分 14万円50万円: 期間短縮型でさらに減る分 20万円50万円100万円: 返済額軽減型でも減る分 29万円100万円: 期間短縮型でさらに減る分 39万円100万円300万円: 返済額軽減型でも減る分 86万円300万円: 期間短縮型でさらに減る分 105万円300万円繰り上げ返済額
返済額軽減型でも減る分期間短縮型でさらに減る分

300 万円を繰り上げると期間短縮型の軽減利息は 1,905,532 円、短縮期間は 4 年 5 ヶ月。同じ 300 万円を返済額軽減型に回すと毎月 9,185 円下がり、軽減利息は 857,924 円です。まとまった金額を動かすほど、方式の選択が結果を左右します。

どちらを選ぶ?判断する順番は?

方式から決めないほうが早く決まります。次の 4 つを順に確認してください。答えを左右するのは金額の大小ではなく、家計のどこに不安があるかです。

  1. 手元資金は足りているか: 生活費の半年から 1 年分を残せない繰り上げは、方式を選ぶ以前に金額を減らす検討が先です。繰り上げた資金は原則として引き出せません
  2. 毎月の返済に余裕があるか: 今の返済額を払い続けられるなら期間短縮型が選択肢に入ります。毎月が苦しい、または近い将来に教育費や収入減が見えているなら返済額軽減型です
  3. 完済年齢はいくつになるか: 定年後まで返済が続く場合、期間短縮型は完済を定年前に寄せる手段になります。返済額軽減型では完済時期は動きません
  4. 住宅ローン控除の残り年数はどれくらいか: 控除を受けている間は次の章の比較が必要です

金融機関によっては繰り上げ返済のたびに方式を選べます。学費が重い数年間は返済額軽減型、その後は期間短縮型という組み合わせも可能です。

住宅ローン控除と繰り上げ返済はどっちを優先する?

判断の目安は、控除率 0.7% とローン金利の大小です。ローン金利が 0.7% を上回っているなら繰り上げたほうが利息の減り方が大きく、下回っているなら控除期間の終了を待つほうが有利になることがあります。住宅ローン控除は年末のローン残高の 0.7% を所得税・住民税から差し引く制度で、控除期間は新築住宅等が原則 13 年、既存住宅が 10 年です(出典: 国土交通省「住宅ローン減税」)。

待つことで得られる金額は「(0.7% − ローン金利) × 繰り上げ額 × 控除の残り年数」で概算できます。金利 0.5%・繰り上げ 100 万円・控除の残り 10 年なら (0.7% − 0.5%) × 100 万円 × 10 年 = 2 万円です。この記事のモデルケースは金利 1.5% です。0.7% を上回っているため、待つ側にメリットはありません。

期間短縮型を選ぶときは、控除そのものを失う条件にも注意が必要です。住宅ローン控除は償還期間 10 年以上が要件で、繰り上げ返済によって最初の返済月から完済月までが 10 年未満になると、その年以降は控除を受けられません(出典: 国税庁「繰上返済等をした場合の償還期間」)。返済の終盤に大きく繰り上げる場合や、控除期間中に何度も期間短縮型を使う場合は、短縮後の完済月を先に確認してください。この条件に触れずに済むのは返済額軽減型です。完済月が動かないためです。

なお、控除額は納めている所得税・住民税の範囲内にとどまり、対象になる年末残高にも住宅の性能に応じた上限があります。納税額が少ない年や、残高が上限を超えている年は、上の式より失う控除が小さくなります。自分の控除額は源泉徴収票または確定申告書で確認できます。

繰り上げ返済しない方がいい場合は?

繰り上げ返済を見送る判断材料は 3 つあります。利息が減るという事実は変わりませんが、減らした利息より失うものが大きい場面があります。

  • 手元資金が生活費の半年分を切る: 繰り上げた資金は引き出せません。失業や病気で収入が止まったとき、返済は続きます。生活防衛資金を確保したうえで、余った資金で繰り上げる順番が無難です
  • 団体信用生命保険の保障が薄くなる: 団信の保障額は残債と同じです。繰り上げて残債を減らすと、万一のときにローンが消える金額もそのぶん小さくなります。手元に現金を残す形と、残債を減らす形のどちらが家族に合うかという選択になります
  • 金利が低く、非課税で運用する余地がある: 金利 1.5% のローンを繰り上げるのは、年 1.5% を確実に得るのと同じ効果です。これを上回る運用は不確実で、元本割れもあります。それでも NISA の非課税枠が空いているなら、100 万円を積立に回した場合の金額を積立シミュレータで出し、上の軽減利息 671,801 円と並べて比べる価値があります

繰り上げ返済と NISA・iDeCo の優先順位は新NISAとiDeCoはどっちを先に?、家計全体の計算順は資産形成シミュレーションは何から始める?で扱っています。

まとめ

同じ金額を繰り上げるなら、利息が大きく減るのは期間短縮型です。モデルケースでは 671,801 円と 285,975 円で、差は 385,826 円でした。その差を払う代わりに毎月 3,062 円のゆとりを先に受け取るのが返済額軽減型です。選ぶ基準は、手元資金と毎月の返済余力、完済年齢、そして住宅ローン控除の残り年数です。

金額は残高・金利・残り期間で大きく変わります。自分の返済予定表の数字をローン繰上返済シミュレータに入れて、2 方式を並べて確認してください。入力した残高や金利はブラウザ内だけで計算され、サーバーに送信されません。

よくある質問

繰り上げ返済はいくらから効果がありますか?
残高3,000万円・金利年1.5%・残り35年のローンなら、50万円の繰り上げでも期間短縮型で340,649円の利息が減り、返済は9ヶ月短くなります。同じ50万円を返済額軽減型に回すと毎月1,531円軽くなり、利息は142,987円減ります。受け付ける最低金額は金融機関ごとに違い、1万円からのところも100万円単位のところもあります。
繰り上げ返済のタイミングはいつがいいですか?
利息の軽減額だけで見るなら、残り期間が長いうちほど効果が大きくなります。ただし手元の生活防衛資金(生活費の半年から1年分)を崩してまで急ぐ理由はありません。住宅ローン控除を受けている間は、控除率0.7%とローン金利の差も判断材料になります。
期間短縮型と返済額軽減型は途中で変えられますか?
金融機関によっては繰り上げ返済のたびに方式を選べます。子どもの学費がかかる期間は返済額軽減型で毎月の負担を下げ、学費が終わってから期間短縮型に切り替えるという使い方もできます。方式を選べるかどうかは契約先の商品説明書で確認してください。
繰り上げ返済をすると毎月の返済額は変わりますか?
期間短縮型では変わりません。毎月の返済額を据え置いたまま、完済までの期間が短くなります。下がるのは返済額軽減型のほうです。残高3,000万円・金利年1.5%・残り35年で100万円繰り上げた場合、91,855円から88,793円になります。
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