
年収の壁とは?103万・130万・160万の違いと2026年の変更点
年収の壁は 1 つではありません。税制上の壁と社会保険上の壁が別々にあり、2025〜2026 年に動いたのは税制側だけです。この記事では 8 個の壁を金額順に並べて誰の負担が増えるかを整理し、103 万円が 178 万円になった経緯と、130 万円を超えたときに手取りがいくら変わるかを金額で示します。
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記載の計算結果は一般的な条件による概算です。個別の条件で金額は変わるため、手続きに直結する場面では公的機関の資料を確認してください。 (免責事項)
年収の壁とは?
年収の壁は、年収がある金額を超えると税金や社会保険料の負担が増える境目の通称です。壁は税制上の壁(本人の住民税・所得税、配偶者や親が受ける控除)と社会保険上の壁(健康保険・年金)の 2 系統に分かれます。この 2 つを混同すると判断を誤ります。
2 系統を分ける理由は、負担の増え方が違うからです。税制上の壁は超えた分にだけ税金がかかります。所得税は超過分に 5% から、住民税は所得割 10% です。1 円超えただけで大きな負担は生じません。
社会保険上の壁は崖です。扶養から外れた時点で健康保険料と年金保険料が発生し、年十数万円から数十万円の負担がまとめて増えます。手取りが逆に減るのはこちらの壁だけです。
2025〜2026 年の変更も 2 系統で性格が違います。税制側は壁の金額そのものが 103 万円から 178 万円まで引き上げられ、社会保険側は金額が据え置きのまま、判定の方法と加入の要件が見直されています。
103万・130万・160万の壁は何が違う?(早見表)
103 万円は 2026 年分の所得税では 178 万円に置き換わり、130 万円は社会保険の壁、160 万円は配偶者特別控除が満額でいられる上限です。同じ「壁」でも、負担が増えるのが本人か配偶者か親かで分かれます。
2026 年(令和8年度税制改正後)時点の壁を金額順に並べると次のとおりです。全員に 8 個すべてが関係するわけではありません。
| 金額 | 壁 | どちらの制度か | 超えると起きること |
|---|---|---|---|
| 100 万円 | 住民税 | 税制(住民税) | 本人に住民税がかかり始める目安。負担は数千円から始まり、崖にはならない |
| 106 万円 | 社会保険 | 社会保険 | 本人が勤務先の社会保険に加入する。保険料が年十数万円まとめて発生する |
| 130 万円 | 社会保険 | 社会保険 | 配偶者や親の社会保険の扶養から外れる。自分で保険料を負担する |
| 150 万円 | 特定親族特別控除 満額ライン | 税制(親の税) | 親の特定親族特別控除(満額63万円)が段階的に減り始める |
| 160 万円 | 配偶者特別控除 段階的減少ライン | 税制(配偶者の税) | 配偶者特別控除(満額38万円)が段階的に減り始める |
| 178 万円 | 所得税 | 税制(所得税) | 本人に所得税がかかり始める。超えた分にだけ5%からかかる |
| 188 万円 | 特定親族特別控除 消滅ライン | 税制(親の税) | 親の特定親族特別控除が0円になる |
| 201 万円 | 配偶者特別控除 消滅ライン | 税制(配偶者の税) | 配偶者特別控除が0円になる |
表は金額順です。上から読めば負担が増える順番が分かります。最初に来るのは本人の住民税(100 万円)、次が社会保険(106 万円または130 万円)、その後に配偶者や親の控除が減り、最後に本人の所得税(178 万円)です。2024 年分までは所得税の壁が 103 万円で、社会保険の壁より手前にありました。引き上げで順番が入れ替わりました。
160 万円は 2 回登場します。混同が起きるのはここです。2025 年分は所得税がかかり始める金額が 160 万円でした。2026 年分では所得税の壁が 178 万円に上がったため、160 万円に残る意味は配偶者特別控除が満額 38 万円でいられる上限です。前者は本人の税金、後者は配偶者の税金の話です。
社会保険の壁は 106 万円と130 万円のどちらか一方だけが自分に関係します。従業員 51 人以上の勤務先で週 20 時間以上働く場合は 106 万円、それ以外(50 人以下の勤務先、週 20 時間未満、学生など)は 130 万円が実質的な基準です。どちらが自分に当たるか、その壁まであと何時間働けるかは年収の壁シミュレーターが勤務先の規模・週の勤務時間・年齢・学生かどうかから判定します。
103万円の壁はなぜ178万円になった?2025〜2026年の変更点
基礎控除と給与所得控除の最低保障額が 2 段階で引き上げられたためです。所得税がかかり始める年収は、この 2 つの控除の合計額で決まります。だから控除の合計が増えれば、税金がかかり始める年収も同じだけ上がり、壁の位置が動きます。
| 年分 | 所得税がかかり始める年収 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2024年分以前 | 103 万円 | 基礎控除 48 万円 + 給与所得控除の最低保障 55 万円 |
| 2025年分 | 160 万円 | 令和7年度税制改正で基礎控除・給与所得控除の最低保障額を引き上げ |
| 2026年分 | 178 万円 | 令和8年度税制改正でさらに引き上げ |
国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」が 2025 年分の引き上げを扱っています。178 万円になったのは令和8年度税制改正によるものです。
住民税は動いていません。住民税の基礎控除 43 万円が据え置かれたため、住民税の壁は 100 万円のままです。「103 万円の壁がなくなった」という言い方は所得税だけの話で、住民税と社会保険には当てはまりません。
社会保険側は壁の金額が動いていません。変わったのは判定と加入の要件で、次の 2 つです。
- 130 万円の壁は、2026 年 4 月から契約上の収入見込みで判定されるようになりました。実際に受け取った額が確定するのを待たずに扶養から外れる判定が出ます
- 106 万円の壁は、2026 年 10 月に賃金要件(月額 8.8 万円以上)が撤廃される予定です。撤廃後は週 20 時間以上という勤務時間の条件だけで加入義務が決まります。企業規模要件(現行 51 人以上)も 2035 年まで段階的に見直される経過措置があります
学生には 2025 年分に新設された特定親族特別控除の壁が加わりました。19〜22 歳の学生は給与収入 150 万円まで親が 63 万円の控除を満額受けられ、188 万円で控除が 0 円になります。従来は 103 万円を 1 円超えると親の控除が全額なくなりました。この改正で段階的に減る形に変わりました。
130万円の壁を超えると手取りはどう変わる?
少し超えただけなら手取りは減ります。年収 131 万円のとき本人の社会保険料は 192,439 円で、年収 129 万円のときの手取りより 162,939 円低くなります。年収は 2 万円増えています。それでも手取りは十数万円下がります。
下の表は、年収以外の条件を固定して年収だけを動かした概算です。前提は年収の壁シミュレーターと同じで、従業員 50 人以下の勤務先・30 歳・学生ではない・協会けんぽ(東京都)加入・扶養なしとしています。この条件では 130 万円の壁が基準になります。
| 年収 | 社会保険料 | 所得税・住民税 | 手取り |
|---|---|---|---|
| 129 万円 | 0 円 | 14,500 円 | 1,275,500 円 |
| 131 万円 | 192,439 円 | 5,000 円 | 1,112,561 円 |
| 140 万円 | 205,660 円 | 5,000 円 | 1,189,340 円 |
| 150 万円 | 220,350 円 | 13,400 円 | 1,266,250 円 |
| 160 万円 | 235,040 円 | 21,900 円 | 1,343,060 円 |
| 170 万円 | 249,730 円 | 30,500 円 | 1,419,770 円 |
棒の高さは年収です。内訳が手取りと負担に分かれます。129 万円から 131 万円で手取りの部分が縮み、その後は年収の増加とともに戻っていきます。129 万円のときの手取り 1,275,500 円に届くのは年収 152 万円で、手取りは 1,281,612 円です。分かれ目は、年収を 230,000 円増やすところまで働けるかどうかです。
表の所得税・住民税の欄が 129 万円から 131 万円で下がるのは、社会保険料が全額所得控除になるためで、192,439 円の保険料を差し引くと住民税の所得割が消え、均等割の 5,000 円だけが残ります。所得税はこの年収帯ではかかりません。壁が 178 万円にあるからです。
106 万円の壁が適用される人(従業員 51 人以上の勤務先で週 20 時間以上・学生ではない)には、同じ崖が 106 万円で来ます。年収 107 万円での社会保険料は 157,183 円です。壁の金額が低い分、崖の位置も手前に移ります。
年収が 160 万円を超えると、配偶者側の負担も増え始めます。年収 170 万円なら配偶者特別控除は満額 38 万円から 92,683 円減ります。配偶者の税金がいくら増えるかは配偶者の税率で決まります。世帯で見るときは配偶者側の年収も合わせて確認してください。
ここまでの金額は概算です。社会保険料は協会けんぽ(東京都)の料率で年収に比例させた近似です。標準報酬月額の等級による丸めは行っていません。配偶者特別控除の額も本来は 2 万円刻みの段階表で、この記事では満額ラインと消滅ラインの間を直線で近似しています。実際の保険料と控除額は勤務先と自治体の通知で確認してください。
壁を超えるかどうかはどう判断する?
判断材料は 3 つです。今年の年収がどの壁に届くか、超えた場合に世帯の手取りがいくら変わるか、超えた分を取り戻せる働き方ができるか。この 3 つを金額で出してから決めます。壁を超えるべきかどうかに一般的な正解はありません。
- どの壁に届くか: 年収実績・時給・週の勤務時間・今年の残り週数を年収の壁シミュレーターに入れると、自分に関係する壁までの残り金額と、あと何時間働けるかが出ます。入力はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません
- 超えた場合の手取り: 社会保険に加入した場合の年収全体の手取りは年収の手取り計算で確認できます。健康保険・年金・雇用保険・所得税・住民税の内訳まで分かれます
- ボーナスの扱い: 賞与も年収の壁の判定に入ります。賞与から引かれる額はボーナス手取り計算で確認してください。月給だけで壁の手前に収まっていても、賞与を足すと超えることがあります
社会保険に加入する側の変化も判断材料になります。厚生年金に加入した期間は将来受け取る老齢厚生年金に反映され、健康保険の被保険者になると傷病手当金や出産手当金の対象になるため、保険料の負担だけで比べると受け取る側の変化を見落とします。
働き方の判断そのものは、勤務先との相談や家庭の事情で決まります。この記事とツールが出せるのは金額だけです。社会保険の加入義務の実際の判定は勤務先の担当部署か年金事務所、税額は所轄の税務署か税理士に確認してください。
まとめ
押さえる順番は 3 つです。壁を税制と社会保険の 2 系統に分ける。金額が動いたのは税制側だけで、社会保険側は判定方法が変わったと理解する。手取りが減るのは社会保険の壁を少し超えたときだけなので、その 1 点を自分の数字で確かめる。
2026 年分の壁は、住民税 100 万円、社会保険 106 万円または130 万円、配偶者特別控除 160 万円から201 万円、所得税 178 万円です。自分の年収実績と時給での残り時間は年収の壁シミュレーターで確かめてください。
この記事は 2026 年 8 月時点で判明している制度に基づいています。壁の金額は毎年 12 月の税制改正大綱で見直されるため、年をまたぐ判断のときは最新の情報を確認してください。
よくある質問
- 税制上の壁と社会保険上の壁は、どちらを先に気にすればいいですか?
- 社会保険上の壁です。税制上の壁は超えた分にだけ税金がかかります。超えた瞬間に手取りが減ることはありません。社会保険上の壁(106 万円または130 万円)は超えた時点で保険料が年十数万円まとめて発生するため、少し超えただけだと手取りが減ります。年収 129 万円と 131 万円を比べると、手取りは 162,939 円下がります。
- 130万円の壁は、いつからいつまでの収入で判定しますか?
- 暦年ではありません。社会保険の被扶養者の判定は今後1年間の収入見込みで行うため、1月から12月までの合計が確定するのを待たずに扶養から外れることがあります。月額の目安は 130 万円 ÷ 12 = 108,333 円です。2026年4月からは契約上の収入見込みで確認する方式に見直されました。一方、所得税・住民税の壁は1月1日から12月31日までに支払われた給与で判定します。2つの壁は数える期間が違います。
- 160万円の壁は所得税の壁ですか?配偶者特別控除の壁ですか?
- 2026年分では配偶者特別控除の壁です。160万円は2025年分の所得税がかかり始める金額でもありましたが、2026年分の所得税の壁は 178 万円に引き上げられました。残った160万円の意味は、配偶者特別控除が満額38万円でいられる上限です。これを超えると控除が段階的に減り、201 万円で0円になります。負担が増えるのは本人ではなく配偶者側です。
- ボーナスや通勤手当も年収の壁の判定に含まれますか?
- ボーナスは含まれます。税制上の壁でも社会保険上の壁でも、賞与は年収に入ります。通勤手当は扱いが分かれます。所得税では通常の給与に加算して支給される通勤手当は月15万円まで非課税で、壁の判定に入りません(国税庁 No.2582)。社会保険の被扶養者の収入は通勤手当を含めて見るのが一般的ですが、基準は保険者ごとに定められているため、加入している健康保険組合や協会けんぽに確認してください。
根拠にした資料
この記事の壁の金額・控除額・改正の内容は次の資料に基づいています(リンクの到達確認は 2026 年 8 月時点)。
- 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について — 国税庁
- No.1195 配偶者特別控除 — 国税庁
- No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当 — 国税庁
- 特定親族特別控除の創設 — 町田市
- 令和8年度税制改正で変わる年収の壁178万円へ — 辻・本郷税理士法人
- 106万円の壁が撤廃へ!撤廃後どうなる?わかりやすく解説 — 労務SEARCH
- 被扶養者資格の収入見込みの確認方法の見直し(130万円の壁) — edenred
改正で変わる数値: 壁の金額は毎年の税制改正大綱と年金制度改正の影響を受けます。106 万円の壁は 2026 年 10 月に賃金要件が撤廃される予定、130 万円の壁は 2026 年 4 月から判定基準が変更済みです。所得税の壁は 2025 年分 160 万円から 2026 年分 178 万円に引き上げられました。